◆冒頭
現在、仕事と生活の調和やワークライフバランスへの関心が高まる中で、「休日」の取り扱いが改めて注目されております。
実は会社の勤務カレンダーに記載されている「休日」には、「法定休日」と「所定休日」という2種類が存在します。
今回は、この2つの「休日」の違いについて、わかりやすくご説明いたします。
◆法定休日とは?
「法定休日」とは、その名前の通り、法律(労働基準法)によって定められている休日を指します。
労働基準法第35条には、「使用者は、労働者に対して毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない」と定めているため、週に1回以上(または例外的に4週を通じて4回以上)、休日を与えることが会社に義務付けられています。
つまり、最低限必ず与えなければならない休日が「法定休日」であり、これはすべての労働者に保障された権利です。
この「法定休日」に労働させた場合は、「休日労働」として扱われ、通常賃金の35%以上の割増賃金の支払いが必要となります。
※労働基準法上の「休日労働」とは、この「法定休日」に行われる労働を指します。
◆所定休日とは?
一方で「所定休日」とは、会社が独自に定めている休日のことです。
法的な義務に基づく休日ではないため、「法定外休日」とも呼ばれます。
例えば、土日休みの週休2日制の会社では、土曜日・日曜日のどちらかを「法定休日」にするか選ぶことができます。
所定休日は、会社の就業規則や労働契約によって設定されるものであり、法律上の義務ではないため、会社ごとに内容が異なります。
■代表的な所定休日の例
- 国民の祝日
- 年末年始
- 土曜日(法定休日でない場合)
- 夏季休暇 など
この「所定休日」に労働させた場合、休みの日の労働となりますが法定休日ではないため、法律上の35%以上の割増賃金は原則適用されません。
但し、労働基準法では、原則1日8時間、週40時間を超えて働く場合、時間外労働(残業代)として扱われ、通常賃金の25%以上の割増賃金の支払いが必要となります。
従って、「所定休日」に労働させたことにより、1日または1週間の労働時間が法定基準を超える場合には、25%以上の割増賃金が必要になります。
※尚、変形労働時間制などの適用がある場合には取り扱いが異なる可能性があるため、制度の詳細を確認することが重要です。
◆まとめ
種類 | 法的義務 | 誰が定める? | 割増賃金の扱い |
---|---|---|---|
法定休日 | あり | 労働基準法 | 35%以上 |
所定休日 | なし | 会社 | 時間外労働の場合は25%以上 |
同じ「休日」に働いたとしても、その日が「法定休日」か「所定休日」かによって、適用される割増率が異なるため、
- 「休日に働いたのに、思ったより給料が少ない気がする」
- 「会社の給与計算に間違いがあるのではないか?」
といった疑問や不満に繋がることがあります。
後々トラブルに発展するリスクもあるため、「法定休日」がいつに設定されているのか、「所定休日」はどの日なのかを確認し、労働者に周知することが大切です。