◆冒頭
企業の経営者やご担当の方からよくいただく質問に、
「振込手数料の関係で給料の支払口座を手数料の安い銀行しか認めないことはできますか?」というものがございます。
確かに、会社が負担するのでできるだけ安いところを選びたくなります。しかし、実はこの運用方法には注意が必要です。
今回、「会社が給料の支払口座を指定できるのかどうか」を労働基準法の観点からご説明いたします。
◆労働基準法第24条「賃金支払いの5原則」とは?
以前投稿したこちらから労働基準法第24条の詳細についてご確認いただけます。
給与支払について以下のような原則が定められています。
- 通貨で支払う
- 直接本人に支払う
- 全額を支払う
- 毎月1回以上支払う
- 一定期日に支払う
これを「賃金支払いの5原則」と言います。
この原則で見ますと本来給与は現金で直接支払うのが原則であり、銀行振込は特例とも言える取り扱いになります。
◆会社が振込口座を指定できる?
今では多くの会社が銀行振込が主流となっております。
では、「会社は振込口座を指定できるのか?」について解説しますと、会社は労働者に銀行振込を希望する場合、以下のことに留意する必要がございます。
- 労働者本人の同意が必要
- 会社は労働者の指定する金融機関に行わなければならない
- 過半数で組織する労働組合(なければ労働者の過半数代表者)との労使協定の締結
つまり、振込口座を選ぶ権利は労働者にあるということになります。
会社は、「○○銀行にしてほしい」等のお願いや提案をすることは可能ですが、会社が指定する金融機関しか認めないことは法律に抵触することになります。
逆に、現金払いを主にしている会社の労働者が銀行振込を希望した場合、会社はこれに応じる義務まではありません。
◆まとめ
最近では、「PayPay」等の資金移動業者を利用した「給与デジタル払い」も始まっておりますが、こちらも一方的に会社が指定することはできません。
また、労働基準法では「支払日の午前10時頃までに払出しまたは払戻しが可能になっていること」と定められているため、午前10時までには振込を完了しておく必要がございます。
給与は生活の基盤となる大切なお金です。
会社側としても法律だけでなく従業員との信頼関係を意識した運用が求められます。
同意者や労使協定について不安がある方は、ぜひ当事務所までご相談ください。


